症例&コラム
歯科恐怖症とはについて
歯科恐怖症とは
そのため、歯に関して痛みや不快感があっても歯医者に行くことができず、歯がボロボロになってしまう方も珍しくありません。
歯科恐怖症の方が日本にどのくらいいらっしゃるのかについて正確なデータはありませんが、一般的な調査によると、日本の成人の20~30%程度の方が歯医者に対して何らかの不安感やトラウマをお持ちで、その内5~10%の方は歯科治療をお受けになれないほど強い恐怖心や不安感をお持ちだと推定されます。
当院にお越しになる方の多くが、歯科恐怖症であるご自身に対して「おかしい」とお感じになっていますが、実際歯医者に通うことができない方はたくさんいらっしゃるので少しもおかしいことではないということを知っていただきたいと思っています。
歯科恐怖症の原因
歯科恐怖症の原因は様々ですが、当院にご来院される患者様からお聞きする主な原因の2つに関してご紹介いたします。過去の痛みによるトラウマでの歯科恐怖症
歯医者に通えなくなる原因で最も多いのが、痛みによるトラウマです。歯科治療はどうしても痛みを伴う場合が多い治療になります。
麻酔の注射や、治療中に麻酔が切れてしまった時、歯科器具で無理やり口を開けさせられた時など、強い痛みにびっくりし、トラウマになってしまうことは少なくありません。
特に治療途中で麻酔が切れてしまっても我慢してしまう方や、麻酔が切れたことを歯科医師に伝えても「もう少しですから我慢してください」と言われて痛みに耐えた方などがトラウマになってしまうことが多い印象です。
歯科医師とのコミュニケーション不足による歯科恐怖症
歯科恐怖症になってしまう原因の2つ目は歯科医師とのコミュニケーション不足です。当院に来院されている方の中にも、初診時に「歯科医師に怒られるのではないかと思った」というご不安を吐露される方がいらっしゃいます。
こういった方の多くが、過去に通っていた歯医者で、「治療説明をしっかりしてもらえなかった」「虫歯が多いことに関して口調を強くされた」「呆れたような態度でしっかり話を聞いてもらえなかった」といった、歯科医師との対話がうまくいかなかったことがトラウマになってしまっています。
治療内容や手順をしっかり説明されない中で治療が行われると、患者様が予期しない痛みや不安をお持ちになってしまうことは当然です。
また、ご自身の話を聞いてもらえていない、無視されていると感じると歯科医師との信頼関係が壊れ、歯科医師や歯医者への恐怖感が増してしまいます。
当院では、初診時にはカウンセリングと口腔内検査のみとなっており、いきなり治療を始めるといったことはありません。
患者様が怖いと思っていること、ご不安に思っていることをお話しいただき、「信頼と安心」を感じていただいて初めて治療を解しますので、コミュニケーションにご不安をお持ちの方にも安心してご来院いただければと思っています。
歯科恐怖症の症状
歯科恐怖症は軽度のものから重度のものまで、その症状は様々です。その症状は、心理的症状と、身体的症状に分けられます。
心理的反応に現れる歯科恐怖症
心理的な症状は、「強い不安感によるパニック心理」「過去の体験によるフラッシュバック」「治療を避けるための逃避行動」などがあります。歯医者に予約を入れるだけでもパニックになってしまう、予約を入れても、どうしてもキャンセルをしてしまうといった行動に現れます。
身体的反応に現れる歯科恐怖症
身体的な症状は「動悸や息切れ」「吐き気」「発汗や震え」「めまいや頭痛」といったものが現れます。これらは強いストレスによって現れる症状になります。
また、歯科恐怖症が直接の原因でなくとも、嘔吐反射と呼ばれる、口腔内に器具が入っただけでオエっとなってしまう症状もみられることがあります。
歯科恐怖症の方が楽に歯科治療を受ける方法
様々な症状が現れる歯科恐怖症ですが、そういった方にも快適に治療をお受けいただけるよう、当院では患者様の信頼関係の構築を大切にしています。しかしながら「信頼関係」があったとしても、直接的な痛みがなくなるわけではありません。
歯科治療における痛みや不安感を解消するために、当院では「静脈内鎮静法」や「全身麻酔」といった、眠っている間におわる無痛治療を行っています。
静脈内鎮静法
静脈内鎮静法は腕の血管からの点滴によって鎮静薬を投与し、ウトウトと眠ったようにする麻酔方法です。薬の量によって歯科医師との受け答えができる状態から、ぐっすりと眠ったような状態までリラックス状態をコントロールすることが可能です。
当院ではしっかりと眠れるように麻酔を深めにかけていくため、治療中の痛みや不快感を感じることがほとんどありません。
また、麻酔自体に健忘作用があるため、仮に意識があったとしても、治療後は記憶があいまいになり、治療に対する恐怖心を軽減することが可能となります。
当法人では年間(2023年法人全体換算)1500件以上を行っております。
当院での静脈内鎮静法の費用は1時間以内33,000円、その後追加30分毎に11,000円となります。
麻酔の費用の他、別途各種治療費が必要になります。
全身麻酔
全身麻酔は大がかりな手術などにも用いられる、完全に意識がない状態に維持できる麻酔方法です。静脈内鎮静法と同じく腕からの点滴によって麻酔を行っていきます。
厳密に管理する環境で行われます。麻酔中は、患者の心拍数、血圧、酸素濃度などがモニターされ、必要に応じて調整されます。
全身麻酔は静脈内鎮静法に比べて難易度が高いため、歯科治療における全身麻酔はほとんどが大学病院で行われていますが、当法人では本院である渋谷のオーラルプロポーションクリニックに大学病院並みの設備が揃ったオペ室を完備し、年間(2023年)50症例以上に対応しております。
当院での全身麻酔の費用は2時間以内110,000円、追加1時間毎44,000円となっています。
麻酔の費用の他、別途各種治療費が必要になります。
無痛で行う短期集中治療
当院では歯医者が苦手な方のために短期集中治療を行っております。短期集中治療は1回の治療時間を最大6~8時間程度確保し、症状のある歯を一気に治療することで、通院回数や通院期間を大幅に削減する治療方法です。
通常の保険診療の場合、保険のルールによって1回の診療でできることが限られているため、通院回数が増えてしまうという特徴があります。
一方当院で行っている短期集中治療は自費診療になるため、保険のルールに縛られることがありません。
歯科恐怖症の方は何度も歯医者に通院すること事態が強いストレスになってしまうと思いますが、短期集中治療なら通院回数を減らすことができるため、何度も通院する必要がありません。
また、1回に長時間の診療ですと精神的・体力的に疲弊してしまうことがありますが、その場合でも静脈内鎮静法や全身麻酔を行うことで、目が覚めたらあっという間に治療が終っていたと感じることができます。
歯科恐怖症でも歯科治療は受けられます
歯科恐怖症で歯医者に通えないまま虫歯や歯周病を放置してしまうと、虫歯の痛みを我慢したり、歯がボロボロになって歯を全て抜かなければならなくなってしまいます。そうなると、治療期間が年単位でかかってしまったり、費用が莫大になってしまいます。
そうなる前に、できるだけ早く治療を開始することが重要になります。
とはいえ、歯科恐怖症の方には治療を開始することがとてもストレスのかかることだということも分かっております。
当院には待合室に入れない方や、診察台の椅子に座るだけで泣き出してしまうような方もたくさんいらっしゃいますが、今では皆さん笑顔で来院していただけるようになっています。
歯科恐怖症の方に快適に治療をお受けいただけるよう、静脈内鎮静法や全身麻酔を行っておりますが、こういった麻酔方法はきっかけにすぎません。
少しの勇気を出して、ぜひ一度ご来院頂き、歯科医師とお話しください。
歯科恐怖症の方がたくさん来院されている当院だからこそ、歯科恐怖症の方のご不安に寄り添い、最適な治療法をご提案することができます。
歯医者は怖いところではありません。
痛みなく治療を行うこともできます。
歯を大切にするためにも、ぜひ一度ご相談いただければと存じます。
ご来院、お待ちしております。
【監修】歯科医師 院長 井上勇人
昭和大学歯学部卒業
歯医者が怖い患者様に寄り添いながら治療を行っていきたいと考えております。安心してどんなことでもご相談ください。