インタビュー:歯科医師井上
Interview
歯科医師
井上 勇人への
インタビュー
井上先生はどのような経緯で歯科医師を志すようになったのですか?
人の役に立てるように職業に就きたい、その中でも人を救うことのできる医療職に強い憧れがありました。
歯学部に入ったのは、元々細かい作業が得意だったことと、治療を行うためには心理的アプローチも外科的アプローチも必要になってくることろに惹かれたことが大きな要因です。
歯学部に入ってみて感じたのは、圧倒的な自分の歯科医療に対する知識不足です。
大学を卒業したと同時に私たちは歯科医師という存在になり、患者様に向き合い始めます。けれど大学では患者様にどのように対応すべきかという、心理的アプローチは学べません。実践的に歯科医療の知識を会得したいと、大学2年生の時にオーラルプロポーションクリニックの歯科助手に応募し、勤務を始めました。
歯医者は治療を行う技術だけが大切なのではなりません。
悩みをお持ちの方のお話をしっかりと聞き、どのようにして解決に導くのかを患者様を含め一緒に考える必要があります。
実際に患者様のお悩みやご不安に接することで、歯科医師としてこうあるべきという目指すべき道が決まったように感じます。
大学の麻酔科に勤務されていましたが、それはなぜですか?
当院ではすべての歯科治療で静脈内鎮静法や全身麻酔を行うことができます。
眠ったような状態で治療を行うので、治療中の痛みや不快感を感じないというのが特徴の麻酔法になります。
歯科助手時代に、歯科治療にトラウマがあり、何年も歯科に通えず歯がボロボロになってしまっている患者様にお会いしました。
その患者様は、静脈内鎮静法での治療を希望されていました。ご不安は大きかったようですが、痛みなく治療をお受けになり、喜んで帰られたのが非常に印象に残りました。
その時の印象から、静脈内鎮静法の大切さを感じ、麻酔の勉強をしたい、患者様に安心・安全に麻酔をお受け頂きたいと、麻酔科への入局を決めました。
1年半麻酔科に勤務し、歯科だけでなく医科の麻酔も経験しました。
通常の歯科での静脈内鎮静法や全身麻酔では起こり得ないような危険な場面にも遭遇し、そういった時の対処法なども学ぶことが出来たので、自信を持って麻酔を行うことができるようになったのだと思います。
歯科で静脈内鎮静法や全身麻酔で治療される方は多いですか?
歯科恐怖症や歯医者へのトラウマをお持ちの方、嘔吐反射のある方で、点滴麻酔を希望される方が非常に多くいらっしゃいます。
また、短期間に治療を終わらせるために1回に数時間治療の時間を確保して一気に進めていく方も点滴麻酔下で治療を行う場合が多いです。
静脈内鎮静法や全身麻酔は、事故などで大掛かりな手術が必要になった場合に使用されるイメージが大きいと思いますが、当院ではクリーニングからインプラント治療まで、あらゆる治療で点滴麻酔を行うことができます。
歯科恐怖症の方は歯医者に来るだけでフラッシュバックしてしまう方も多くいらっしゃいます。
まずは無理せず、比較的シンプルな治療を点滴でお試し頂き、眠ったままで痛みなく治療をお受けになれることを体感して頂きたいと思っています。
どのような治療方針で患者様に向き合っていますか?
患者様の価値観を大切に治療を行っています。
歯科医師の考える最良の治療と、患者様の望まれる最良の治療が必ずしも一致しているわけではありません。
歯科医師の考える理想的な治療を進めるのではなく、患者様の予算・期間・要望に沿った治療を第一に優先する。
そのためにカウンセリングにしっかりと時間をかけ、リスクやメリット・デメリットをご説明し、慎重にご選択いただけるようにしています。
1回でご不安があれば、何度でもカウンセリングのお時間を取るようにしています。
歯は、日常生活を楽しむだけでなく、姿勢や全身の健康にも大きく係わっています。
単に痛みを取り去ることだけが治療なのではなく、歯が原因で起きうる障害をどう改善していけるかを常に考えています。
それは歯医者に来たくない、怖いと思っていらっしゃる患者様の心を改善していくことにも繋がっています。
私の担当している患者様には、歯科恐怖症の方が多くいらっしゃいます。
以前、歯科にトラウマがあり、治療用の椅子に座っただけで泣いてしまう方がいらっしゃいました。怖くて怖くて、何年も歯医者に通えず、けれど歯がボロボロになってしまって勇気を出してご来院くださいました。
丁寧にご説明し、静脈内鎮静法で治療を行ったところ、ご不安に思われていた痛みなどを一切感じずに治療を終えることができ、今では笑顔でご来院いただけるようになりました。
静脈内鎮静法や全身麻酔は患者様の心を救う入口だと考えています。
歯の痛みを解消するのは大切ですが、その前に歯の治療に向き合う心を改善して差し上げたい。そのために全てのアイデアをご提案しますので、気に入った治療を行っていきましょう。
責任を持って、一緒に進んでいきたいと思っています。