インタビュー:歯科医師小野
Interview
歯科医師
小野 貴庸への
インタビュー
小野先生はどのような経緯で歯科医師を志すようになったのですか?
僕は岡山県の出身です。
生まれ育ったところは町全体で信号が一つしかないような、田舎のなかの田舎。
ずっと東京に強い憧れを持っていました。
そこで高校を卒業するとすぐ、東京に出て働き始めたんです。
最初に就いた仕事は専門性の低いものだったため、「一生このまま生きていくのは難しいのではないか?」と思うようになりました。
ちょうどその頃、家族がインプラントの治療を受けることになって、それをきっかけに歯科医師という職業が視野に入ってきたんです。
思い切って歯科医師を目指して勉強しよう、手に職をつけようと決心しました。
こうして明海大学の歯学部に入学します。
卒業後は口腔外科がご専門だったとか。
はい。
東京医科大学病院の口腔外科に入局しました。
口腔外科では、歯茎を癌に侵された患者さんや、交通事故で歯や顎の骨に大きな損傷を受けた患者さんの救急手術を担当していました。
1分1秒を争う難しい症例に、脳外科の先生らと協力しながら取り組む手術です。
大変やりがいのある毎日でしたが、それらの経験をもっとたくさんの一般的な患者さんの治療にも生かすことができるのではと思い、だんだんと開業を考えるようになりました。
オーラルプロポーションクリニックではどのようなことを治療方針とされていますか?
一人ひとりの患者さんにじっくり向き合うことを、徹底して心がけています。
ご相談だけで1時間や2時間ということもありますし、そうですね、1日に診る患者さんの数は多くて5人というところでしょうか。
ご好評をいただいている院内のインテリアも、患者さんにリラックスしていただくことを追究してできあがったものです。
また、外見上の美しさはもちろんのこと、正しい歯並びを作ることによって、しっかりとものを噛めるお口を作ることを大切にしています。
口腔のゆがみはからだ全体のバランスにも影響を与えます。
オーラルプロポーションクリニックでは、噛み合わせや矯正治療を専門とする先生も在籍し、一人の患者さんに複数の医師が、それぞれの専門性を生かして治療を行うこともあります。
これは僕が口腔外科時代に経験した「チーム医療」の考え方を生かした診療体制ですね。
こちらには、歯のかぶせものなどを製作する技工士さんも常駐されているとか。
ええ。
7階のオペ室の隣りに技工所も併設しています。
「歯科医院に技工士さんがいるなんて珍しいですね」とよく言われますが、昭和30年頃まではごく普通のことだったんですよ。
現在では、家賃や人件費の問題で分業する形が当たり前になっていますが、かぶせもの、インプラント、入れ歯などはすべて患者さんのお口の中に直接入るものですから、製作するにあたっては非常に微妙な作業が必要になります。
医師と技工士の連携が密に取れているほうが良いものができるに決まっていますよね。
迷うことなく今のシステムを作り上げました。
小野先生が究極に目指しているものはなんでしょうか?
痛みを取り除く、歯を綺麗に治す、ということが決して治療の最終目的ではないと思っています。
そうではなく、我々の治療を受けたことによって、患者さんの生活をどれだけ変えられるか。
希望にあふれたものにできるか。
そこを目指して患者さんと向き合わなければいけないと思っているんです。
たとえば歯並びにコンプレックスのある患者さんがいらっしゃったとして、心に描いていたイメージの通りの歯にして差し上げることができれば、自信が生まれ、化粧も服装も、性格までもが変わっていくことが多いものです。
それによって、たとえば良い伴侶とめぐり会って幸せな家庭を築くとか、良い仕事を得るとか、患者さんの人生がより希望にあふれたものとなるように。
最初からそこまでを見据えて患者さんと向き合うべきだと思っています。
口腔外科時代は、たとえば交通事故で口腔をひどく損傷され、生きるか死ぬか‥‥
そういう患者さんや、そのご家族の方々と向き合ってきました。
僕としては、今もそのときと心構えはまったく同じ。
一人ひとりの患者さんの人生にかかわる治療をしているのだという思いで、毎日の診療に向かっています。